1.個人事業か法人設立か

個人事業でいくか、法人を設立するか?その違いは下記のとおりです。

  

  

 個     人

 法     人

 創業の手続き ・いつでも簡単に開業可能

・税務署等への開業届提出だけでよい

・設立、登記手続き不要

・手続きの費用、時間はほとんど かからない

・定款作成や登記等、設立手続きに手間と時間がかかる

・設立登記諸費用が約15~30万円程度必要 (株式会社か合同会社か等、会社形態により金額に相違あり)

資本金 ・不要

 ・必要(1円でも可能)

社会的信用度

・一般には法人より低い

企業との取引、人材確保の面でも不利

 ・一般的には個人事業より高い が、法人であってもすぐには信用力は付かない

資金調達力 ・限界がある

 ・開業当初は法人も個人も一緒、但し時間がたてば一般的に法人が有利

経営責任の範囲

・無限責任であり、個人が全責任を負う

・法人の有限責任

経理

・簡易帳簿でもよい 

・白色申告なら簡便だが、青色申告の場合、ある程度の知識が必要 

 ・複式簿記による正式な記帳が原則 一定

    の決算書類の作成も必要

事業主本人の給与

・経費にならない

・原則として経費になる

家族への給与

・一定の事業専従者への給与以外は経費に

    ならない 

・原則として、勤務実態に応じて経費になる

事業主本人の退職金

・経費にならない

・原則として、経費になる

損失の繰越可能期間

・青色申告では3年間

・青色申告では原則9年間

所得に対する課税

・所得税

    所得の増加にともない段階的に税率が上

    がる超過累進 課税

・その他個人事業税、個人住民税

 

・法人税

    課税所得800万円を境に2段階の税率(資本金1億円以下の場合)

・その他法人事業税、法人住民税 

 

節税対策

・法人より不利。但し、接待交際費は事業で

    必要とされるものは、全額経費計上可能 

・個人事業にはない各種の

    節税策がとれるが、接待交際費は一定の 

    額しか経費扱いされない

消費税の納付

・1、2年目は消費税の納付は無し 3年目に

    1年目の消費税を預かった売上高で判定

     (1000万円超だと納付)

・資本金が1000万円未満だと原則、個人事業主と同じ扱い、但し1000万円以上だと 1期目から消費税の納付必要

社会保険(健保・厚生年金)

・原則、従業員を5人以上雇うと、強制加入 

・社長1人であっても必ず強制加入 

労働保険(労災・雇用)

・労働者を1人でも雇用すれば強制加入

・個人に同じ 

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2.法人の種類と設立形態による違い

一般に設立できる法人は下記表の4種類です。各法人の形態の比較は表を参照して下さい。

なお、下記形態とは別に、LLP(有限責任事業組合)という組織形態がありますが、LLPには法人格がなく、そのためLLPでは法人名義での契約や不動産の所有等ができませんし、税金もLLPでは各構成員個々に課税されます。またLLPには存続期間の定めがあり、損失も各構成員の所得と相殺できるという特徴があります。そのためお金を出し合って不動産投資をするなど、期間限定の投資事業に向いています。特殊な組織形態なので下記表では詳細説明は省略しています。

種類 株式会社 合同会社(LLC) 合資会社 合名会社
設立時の最低資本金 1円 1円 1円 1円
設立時の構成員(出資者) 1名以上(有限責任) 1名以上(有限責任) 1名以上の無限責任社員と1名以上の有限責任社員 1名以上の無限責任社員
経営者の責任範囲 有限責任 有限責任

無限責任社員は無限責任、有限責任社員は有限責任 

無限責任
取締役  3名以上(株式譲渡制限会社は1名以上) 必要なし 必要なし 必要なし
監査役 1名以上(大会社は3名)株式譲渡制限会社は必要なし 必要なし 必要なし 必要なし
設立登記諸費(諸税金、司法書士手数料込み) 約30万円程度(登録免許税+定款認証費用等+司法書士手数料) 約15万円程度(登録免許税+定款認証費用等+司法書士手数料) 約15万円程度(登録免許税等+司法書士手数料) 約15万円程度(登録免許税等+司法書士手数料)

 

役員の任期

 

 株式譲渡制限会社に限り最長10年可

(役員改選の義務有り)

 無し  無し  無し

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3.株式会社設立の手順

設立例 : 代表的な組織形態である株式会社の場合の標準的な設立手順及び日程は下記の通りです。

     実行手順   ①⇒⑦     相手先・実行内容         日    程

①会社の基本事項決定

 本店予定地の法務局 

(準備:商号・本店所在地決定、印鑑を製作、印鑑証明書をとる) 現行の会社法では同一商号かつ同一事業でも同一住所でない限りは法的には登記出来るが、先行の同一商号業者から損害賠償等の訴訟を受ける可能性も生じますので、そうしたトラブルを避けるためにも『類似商号』の調査は行い、同一商号は避けましょう。

11月1日

  

スタート

定款の作成

  11月5日
③定款の認証

公証人役場

定款・印鑑証明書を提出

11月10日
④資本金の払込み

金融機関

払込証明書を作成(発起設立の場合は預金通帳のコピーを利用して作成)

11月13日
⑤設立登記の申請

本店予定地の法務局

①登記申請書②定款③取締役の調査書④払込証明書⑤取締役の印鑑証明書⑥印鑑届出書⑦OCR用紙  以上を提出、法務局の審査期間は1~2週間

11月15日 
⑥設立登記の完了

本店予定地の法務局

補正があれば訂正登記事項証明書・印鑑証明書の交付を受ける

 

 11月25日
⑦設立後の諸官庁への届出等

税務署、府または県税事務所、市役所、年金事務所、労基署等

会社の設立登記が終わったら設立届を税務署、府または県税事務所、市役所へ提出。また必要に応じて社会保険、労働保険の加入手続きを行う。これで会社設立後の法的手続きは全て終わりいよいよ会社としてスタートすることになる。

 

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4.許認可が必要な業種

許認可等が必要な業種名と窓口は下記の通りです

許認可等の種類:免許、許可、届出、指定、登録

・届出 → 基本的には届出書類の提出で開業できます。

・許可 → 申請を行うと審査を受けます。それに通れば開業できます。

店舗などもチェックされます。

・免許 → 審査を通らなければ開業できません。一定の資格が必要となります。

窓      口   業       種
 保  健  所  ・飲食店、喫茶店(許可)

・菓子製造業(許可)

・菓子販売業(届出) 

・食肉販売業(許可)

・魚介類販売業(許可)

・惣菜製造業(許可)

・食料品等販売業(許可)

・理・美容業 (届出)

・クリーニング業 (届出)

・ペットショップ(届出)

警  察  署

・リサイクルショップ(許可)

・アンテイーク店(許可)

・中古車販売業(許可)

・金券ショップ(許可)

・質屋(許可)

・バー・クラブ(許可)

・ゲームセンター(許可)

都道府県・その他官庁

・保育所(都道府県:許可) 

・酒類製造・販売業(税務署:免許)

・タバコ小売業(日本たばこ産業:許可)

・医薬品等の販売 (都道府県:許可)     

・建設業(都道府県:許可)

・不動産業(都道府県:免許)

・通訳案内業(都道府県:免許) 

・人材派遣業(公共職業安定所:許可)

・路外駐車場(都道府県:届出)

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