計画なくして成功無し! 夢の実現に向かって一歩踏み出して下さい。
企業経営は、本来、自らの意思で行うものですから、失敗しても叱ってくれる人はいません。
よりよい経営を行うためには「あるべき目標」と「現実」との差を常に感じてその差を埋める努力を継続することが必要です。
その為には事前の計画が何よりも大事です。自分が起業した目的を達成する道しるべの役目を果たすのが事業計画であり、じっくり時間をかけて計画を練ることが大切です。
最低限の会計基礎知識は必要
事業計画作成には理念(起業の思い、経営理念・哲学・使命感等)と経営理論・数値(戦略・戦術、数値による売上・利益目標、資金繰り)の両面が必要です。
事業計画作成に当たっては理念から入って経営理論・数値へと進すむのが通常の手順ではないかと思います。
数値による部分については損益計算書や貸借対照表等といった会計知識が必要となります。専門的な知識は不要ですが、最低限の会計基礎知識を市販の初心者向けの書籍で充分ですので予備知識として習得しておくことが必要です。
1) 経営ビジョンの明確化
何のための起業なのか?
起業の最大の目的は自己実現の機会を創造することにあるのではないかと思います。
①起業目的を明確にするべく ”したいこと”、”するべきこと”、”できること”、それらの
逆に”したくないこと”、”するべきでないこと”、”できないこと”をより鮮明にすることが肝心です。
②上記①をベースに将来の経営環境の中で最も適切な事業のあり方のイメージをつくりあげる。
単なる欲からくる空理空論の願望ではなく、また例え目先の利に目が行くこ
とがあったとしても志は高くもって自己実現を成し遂げるべく、今一度これからの”なすべきこと”を
自分の心に、正直に問いかけることが事業計画作りに当たり必要なことだと思います。
2) 経営環境の予測・分析
変化する市場や競合環境を分析して、市場ニーズに合ったサービス・商品の提供や競合相手への
対策を検討する。
3) 自社能力の評価・分析
自社が”できること”、得意とすることを冷静に確認して、自社の能力を評価・分析。
4) 戦略を練る
小さな企業が生き残る為に、限られたヒト・モノ・カネ・情報を最大限有効活用する為の経営戦略を練る。
戦略課題の実現に5W2Hに基づき対策を練るようにする。
What(なにを) → 課題
How many(どれだけ) → 目標
When(いつから、いつまで) → スケジュール
Who(だれが) → 担当者
How(どのように) → 方法・手段
Why(なぜ) → 理由
Where(どこで) → 場所
さらに零細企業が参考にすると良い弱者必勝の戦略 → ランチェスター戦略
(クリックすると解説HPへ)
5) 中期経営計画の作成
上記1から4を基に具体的な数値計画を作成する。
事業計画にはさまざまな視点があるが、会計的な面から考えると損益計画とそれにリンクした資金繰り計画が考えられる。
★損益計画においては下記算出過程で当期利益を予測する
売上-売上原価=売上総利益(粗利益)
↓
売上総利益-人件費等の販売管理費=営業利益
↓
営業利益±営業外損益=経常利益
↓
経常利益±特別損益=税引前当期利益
↓
税引前利益ー法人税等=税引後当期利益
★資金繰り計画の必要性 : お金が残る経営をしましょう!
これは損益計画よりも大事であり「黒字倒産」の言葉があるようにいくら利益が出ていても手元に資金がなければたちまちに会社は立ち行かなくなるのである。
利益と資金収支は別物と考えて資金繰り表を使い損益計画に対応させて売上、仕入、諸経費の決済時期も考慮して資金繰り計画を作成することが重要です。
1) 計画の対象期間の設定をどうするか
対象期間によって単年度計画(1年間)、中期計画(3~5年間)となる。
単年度、中期計画とも両方計画を立てるべきである。中期計画を先に立ててその後にその中期計画 の実
現の為の裏付けとして各単年度計画へと移る
のが良いと思います。 起業当初は正確な単年度計画作成が難しければ中期計画だけ作成しても計画を
立てることへの価値は充分ある。
2) 目標損益計算書の作成手順
事業継続に必要なものは利益である。よって先ずは利益目標を立てる
①【目標利益(経常利益)を計画する】 : 自分の願望としての額を適当に設定
⇓
②【営業外損益を見積る】 : 金融機関への支払利息等見積計上
⇓
③【内部費用を見積る】 : 人件費、戦略費、未来費用、その他一般経費
⇓
④【粗利益を見積る】 : 必達額として①+②+③の合計
⇓
⑤【売上高を見積る】 : 必達額として ④ ÷ 粗利益率(率が不明な場合は業種別の平均数値を
利用)
(注)損益計画は、一般的に損益計算書の表示順序に従い、先ず売上計画を立ててから次に経費計画を
立てるケースが多い。しかしながらこの方法では予測もつかない売上をあたかも達成可能な売上のように
錯覚してその売上を前提に全体計画が立てられるので絵に描いた餅の計画になる可能性が
強い。
経費については起業当初からある程度、正確な数値が予測されるので先ずは経費を予測する。経費に
は売上高に応じて変動する 「変動費」もあるが、ほとんどが家賃や人件費のように売上の多寡に関わら
ず毎月発生する「固定費」である。
(法人の場合、固定費として社長の報酬をいくら欲しいのか、いくらまで会社が経費負担できるのかも考
慮して決定する必要がある。)
この毎月発生する費用を費目別に金額を算出して集計すれば月次経費合計の予測がつく。この月次の
経費を今期の月数倍して年間経費合計額を試算し、それに特別な消耗品代や広告宣伝費等の臨時的
な費用を加算すれば年間総経費の見込額が算出される。
このように損益計算書を下(当期利益)から上(売上高)へ辿ってゆくと今期達成が必要な売上高が見え
てくるのである。
ところが、このようにして算出した必要売上高がとんでもない実現が困難な金額だったりすれば計画自体
に間違いや無理がある可能性がある。
その場合には、今度は実現可能な売上をもとに予算上の損益計算書を上(売上高)から下(経常利益)の
方に向かって再計算して見直してゆく。
粗利益率に誤りがないかとかその他あらゆる経費の見直しもして
節約すべきはして予算を組み直すのである。実現可能性が確信できるまでは損益計算書を「下から上」
へそして「上から下」へと発想を変えて見直しを繰り返すことが必要である。この作業を繰り返す過程で経
営上の課題等も見つかる可能性が大であり、この過程が実は経営計画には大事な要素である。
期末の財政状態を予想して期末の貸借対照表を作成することも必要です。損益計画と関係した売掛金
や受取手形の回収条件、買掛金や支払手形の支払条件、建物等の購入や売却と減価償却、借入金の
返済や追加借入その他予想されるあらゆる貸借対照表上の動きを捉えて期首の貸借対照表科目に加算
減算して作成する。
財務内容を良くして無借金経営に少しでも近づけたい等々、財政状態に関する様々な計画があれば、そ
の計画が実現した時のあるべき姿の貸借対照表の状態を作成するものです。実は、計画貸借対照表は
計画損益が実現した時の会社の財政状態を通じて余裕資金の確認をすることにあります。
240408